パンチングメタル(ス-パ-ダイマ)高耐食性めっき鋼板の事例と防錆テスト
ス−パ−ダイマパンチングメタル事例
ここでは高耐食性めっき鋼板(本物件はス−パ−ダイマ)を使
用してパンチングメタル物件を製作させて頂きました事例を
ご紹介いたします。この板は新日鉄製の板で、『めっき層成
分が亜鉛を主に、約11%のアルミニウム、約3%のマグネシ
ウムおよび微量のシリコンからなる新しい高耐食性めっき鋼
板です。』という事で、板の切断口、パンチングメタルの穴
明部(板厚部)が加工時には中の下地がむき出しになるが時間
の経過とともにめっき層で覆われて防錆対策も問題ないという事で、もしそれが可能ならパ
ンチングメタル加工後のメッキや焼付塗装が不要でコスト安になるという事で採用を検討さ
れていました。物件的には左画像の新築工事で約400㎡の物件ですので防錆についてのコメ
ントが欲しくて、メ−カ−様に打ち合わせの同席を求めましたが断られ、試作品を作り約一
か月位のテストを経て、設計会社様のご決断のもと製作させて頂きました。パンチングメタ
ル加工においては通常の鉄板と同じで、製作的には問題なく進みました。その時に試作しま
したパンチングメタルを当社の外部窓枠に3年間吊るして観察しましたので下記にご紹介し
ます。
ス−パ−ダイマパンチングメタルの雨ざらしテスト(2008年2月から2011年2月)
ス−パ−ダイマパンチングメタルテスト
パンチングメタルをテストした場所は屋根も
なくいわゆる『吹きさらし』。テスト期間は
2008年2月から2011年2月の3年間。左画像
は2011年2月14日に久しぶりに大阪に積もる
程の雪が降った時の画像です。設置した当初
はパンチングメタル穴部や切断面に赤錆びの
斑点が少し見えましたが日を追っていつの間
にか消え、現状ではすべての端面において問
題と思われる個所は見受けられません。3年
間の唯一の変化とすれば当初あった光沢が少
し白っぽくなった程度です。これは一般的な溶融亜鉛メッキと同じ現象で問題はないと思わ
れます。また鉄のパンチングメタル加工後の溶融亜鉛メッキはいつも熱による歪みが問題と
なりますので、その面でもメリットがあります。デメリットとしては、一般的な市場で板が
入手しにくい事、一般鋼板やボンデ板のように切断買いができなくて、定尺規格単位
(914X1829,1219X2438)の板を購入してロスを含んでの価格になるので、寸法の取り合わ
せが悪ければそのまま原価に跳ね返ってくる事、板に養生されていないので加工時や運搬時
に擦り傷が入る事などです。ただ物件のパンチングメタル条件(寸法や意匠)が合えば通常の
パンチングメタルに比べメリットがある場合もあります。
本件の詳細は稲田金網株式会社 営業部までお問い合わせください。
ス−パ−ダイマパンチングメタルは、規格在庫品があります。
板厚 0.8T 3'X6' (914mmX1829mm)
パンチングメタル金型 ○十(115B)、3DX5P、5DX8P、10DX15P
板厚 1.0T 3'X6' (914mmX1829mm)
パンチングメタル金型 ○十(115B)、3DX5P、5DX8P、10DX15P
板厚 1.2T 3'X6' (914mmX1829mm)
パンチングメタル金型 ○十(115B)、3DX5P、5DX8P、10DX15P
板厚 1.6T 3'X6' (914mmX1829mm)
パンチングメタル金型 ○十(115B)、3DX5P、5DX8P、6DX9P、8DX12P、10DX15P
需要が少ない為、現在の在庫がなくなり次第補充予定がございません。(要御確認)
高耐食性メッキ鋼板は、ス−パ−ダイマ(新日鉄製)、ZAM(日新製鋼製)があります。
ZAM(ザム)は、金物工事(庇)においては実績があり、同程度の仕様と思われます。
続編 ス−パ−ダイマパンチングメタルのその後 2012年6月25日
ス−パ−ダイマパンチングメタル 2012年
テストで当社ビル外壁の面格子にス−パ−
ダイマで製作したパンチングメタルを雨ざ
らしのまま吊るして4年半が経過しました。
切断面やパンチングの孔の小口に赤サビが
見えるようになってきました。ただ通常の
鉄材の錆びのように一気に一面に錆びが広
がる事はありません。少しずつ近づいてみ
ると目立つようになった位の見え方です。
続編 ス−パ−ダイマパンチングメタルのその後 2013年5月30日
ス−パ−ダイマパンチングメタルテスト-1
上記画像時からさらに1年経過。設置から
5年たった画像です。パンチングメタルの
穴の小口、板の切断面に明らかに赤錆が目
立ってきました。
ただパンチングメタルパネルの面に広がっ
ている様子は、いまだにあまり目立ちませ
ん。
あとメッキでない板に対してのパンチング
メタルとしては十分な耐久性だと思います。
続編 ス−パ−ダイマパンチングメタルのその後 2015年10月01日
ス−パ−ダイマパンチングメタルテスト-2
ス−パ−ダイマのパンチングメタルの上記
画像の2年5箇月後、この場所に設置した
2008年2月から7年8か月の画像です。
パンチングメタルパネルの切り口や穴の
空いている小口の錆は、上記とは特に進
行した様子はないのですが、正面から見
て、鍍金部が薄まり少し赤っぽく感じられ
る箇所が出てきました。ベランダなど手に
触れるような場所で使うとしたら、そろそ
ろ交換したくなるイメ−ジです。ただ実際
には、錆びてどうしようもない状態ではないので、設置場所や用途によれば問題ないと判断さ
れるユ−ザ−様もおられるかもしれません。鉄材系でこの状態(雨ざらしで何の掃除もせずそ
のままの放置状態)で、現状程度の劣化ですむとは、私自身も思いませんでした。せめて汚れ
などを拭くなどすこしの手入れが有れば、変わるかもしれませんが、一つのパンチングメタル
材料としていい研究結果が身近でできたと思います。 2015年10月2日
続編(最終) ス−パ−ダイマパンチングメタルのその後 2021年06月15日
ス-パダイマパンチングメタル20210615
2008年2月14日に当社東面の格子枠に吊る
して、経年変化を観察する事、13年4カ月。
その間、風雨や異常気象、黄砂にもさらさ
れながら一度も汚れを拭き取ることもなく
そのままに吊り下げていました。
当初の少しあった光沢は白っぽくなり、薄
いベージュ系のシミは何となく感じるもの
の錆びて朽ち果てる状態でもなく、化粧パ
ネル用途でない場所であれば十分だと思い
ました。外部の屋根のない場所でのご使用
であれば、鉄のパンチングメタルに塗装したパネルであれば、設置後短期間で穴の小口から
錆びが始まり全体に広がることが予想されます。室内でのテストはしておりませんのでわか
りませんが、パンチングメタル加工後に表面処理費用が掛からない事、その分納期も短縮
できることも考えますと、用途によりかなりメリットがあります。但し2021年6月現在の
鉄板供給不足の中、板の入手に手間取りそうです。
本サイトに掲載されている記事並びに画像他、一切の情報の無断転載を禁じます。
.